あなたが建設業界5位の竹中工務店社長ならどのような経営戦略を取るか?

長谷工コーポレーションの成功要因とは?

長谷工コーポレーションの成功モデル

建設業界を取り巻くビジネス構造は上図のように、行政・地方自治体や民間デベロッパーが不動産や施設の事業計画を立案し、それをもとに建設企業へ受託発注します。また、行政・地方自治体から民間デベロッパーへ事業企画や運営を委託し、民間デベロッパーが主導して建設企業への発注や利用者へのサービス提供・運営管理を行うケースもあります。

その中で長谷工コーポレーションは自社で土地を購入し、不動産デベロッパーへ土地持ち込みの営業および事業企画提案を行っています。そうすることで受託建設だけではない付加価値を付け、利益を上げることに成功しています。

衰退していく日本国内の建設市場

日本国内の建設投資額の推移

近年は東京五輪や東日本大震災の影響で日本国内の建設市場全体が一時的に上向いてますが、中長期的に見ると建設市場規模は減少してきており、決して楽観視できる状況ではありません。特に土木よりも建築の減少が大きく、建築比率の大きい竹中工務店にとっても影響は小さくありません。

新設工事費よりも維持修繕工事費が大きくなる日本の建設業界

国内の維持修繕工事費と新設工事費の推移

国土交通省の調査によると、建設(建築+土木)工事のうち、新設工事費と維持修繕工事費との割合は年々維持修繕工事費の比率が増えており、’05年には24%(12.8兆円)だったものが’13年には28.5%(14.9兆円)にまで増加しています。日本の建設物は老朽化が進んでおり、この増加傾向は続くと考えられています。

維持修繕工事費の内訳

2013年における維持修繕工事費の内訳を見ると、建築の割合が6割以上を占めており、建築に特化した竹中工務店にとって無視できない市場です。竹中工務店が新設工事だけでなく、不動産の管理・運営委託にも本格的に乗り出せば、今後、建築の維持修繕工事事業において高いシェアを築き、収益の柱になり得ると考えられます。

成長する海外の建設業界市場

世界各地域における建設投資額の推移

みずほ銀行の調査によると、欧州とアメリカの建設投資額はリーマンショック後、著しく減少していますが、中長期的に見ると少しずつ成長しています。また、中国とASEAN(インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム)の建設市場規模は成長著しい状態を維持しています。2000年を基準とした地域別の建設市場規模の年平均成長率(CAGR)は以下の通りです。

  • 欧州:1.9%
  • アメリカ:2.0%
  • 中国:14.7%
  • 日本:-1.5%
  • ASEAN:13.4%

海外建設市場で苦戦する日本の建設企業

日系建設企業の海外受注額の推移

日本の建設企業の海外受注額は中長期的に見ると、わずかに成長しているようにも見て取れますが、年によっても波があり、安定的に成長しているとは言いにくい状況です。また、ENR(Engineering News-Record)が公表している2015年世界の建設企業の収益ランキングでも日本企業はトップ10にも入っておらず、世界的にはまだまだプレゼンスが高くないと言えます。

  • 大林組:18位
  • 鹿島:24位
  • 清水建設:25位
  • 大成建設:26位
  • 竹中工務店:37位

日系建設企業の海外受注額内訳

2015年における日系建設企業の海外受注額の地域別内訳は、地理的に近いアジアが53%と一番多い一方、市場規模が一番大きい欧州は5%と低く、参入に課題がありそうです。もし欧州へ参入する場合は自社参入するのではなく、欧州企業をM&Aするなどして参入した方が早いかもしれません。

竹中工務店の海外売上比率はスーパーゼネコンの中間ポジション

スーパーゼネコンの海外売上

スーパーゼネコンの海外売上を比較すると、竹中工務店は大林組(4087億円、23.0%)、鹿島(3679億円、21.1%)に続き、1934億円で売上に占める海外売上比率は15.1%(竹中工務店は’15年12月期のデータ)です。スーパーゼネコンの中では高くもなく、低くもないポジションですが、竹中工務店がスピード感を持って海外進出する場合は海外の建設企業もしくは海外売上比率が大きい日本国内の建設企業と提携もしくはM&Aした方が良いかもしれません。

竹中工務店のSWOT分析

上記の状況をまとめると、竹中工務店のSWOT分析表は以下のようになり、竹中工務店の経営戦略としては、建築分野をベースとした①PFI/PPP活用もしくは②海外事業強化が良さそうです。

竹中工務店のSWOT分析

竹中工務店の本質的な経営課題は何か?