【塾業界動向】あなたが秀英予備校社長ならどのような経営戦略を取るか?

競合分析で分かる教育・塾業界での成功要因

1.非常勤講師/パートタイムの活用で人件費を抑える(東京個別指導)

塾・予備校各社の原価率、販管費率を比較すると、個別指導の東京個別指導の原価率がもっとも低く、61.7%になっています。また明光義塾(個別指導)を運営する明光ネットワークジャパンの原価率も次に低く、65.2%となっています。

この原価には塾講師などの人件費が含まれていて、秀英予備校は比較した塾・予備校の中でもっとも原価率が高く、84.0%です。

塾・予備校各社の原価率/販管費率/営業利益率

東京個別指導の非常勤講師/パートタイム比率を見ると、比較した塾・予備校の中でもっとも比率が高く(94.3%)、非常勤講師/パートタイムを活用することで人件費、つまり原価を低く抑える戦略を取っていることが分かります。明光ネットワークジャパンも非常勤講師/パートタイムの比率は77.7%と比較的高いことが分かります。

一方、秀英予備校は比率が25.5%と低い水準であるため、人件費が競合他社より高い要因になっていると考察できます。逆に正社員のプロフェッショナルな講師が多く、クオリティの高い授業を提供できるというブランディングでPRできるかもしれません。

塾・予備校各社の非常勤講師/パートタイム比率

2.塾運営ノウハウと動画コンテンツを活用したフランチャイズ展開(ナガセ&明光義塾)

東進ハイスクールを運営するナガセ、明光義塾を運営する明光ネットワークジャパンの2社も営業利益が大きいですが、2社に共通する点は積極的にフランチャイズ展開し、教室を全国へ拡大している点です。

ナガセと明光ネットワークジャパンのセグメント別利益を見ても、フランチャイズ事業の営業利益がそれぞれ63.4億と21.4億でもっとも大きく、利益率も22.5%と38.3%でかなり高利益率です。フランチャイズ展開することで、ナガセと明光ネットワークジャパンは比較的安定した収入をあげられたり、教室などの設備投資費を抑えられたりするため、高い営業利益を得られるのではないかと考えられます。

ナガセと明光NJのセグメント別利益

ナガセも明光ネットワークジャパンもフランチャイズ展開によって、教室数を非常に伸ばしており、それぞれ2061教室、2121教室となっています。3番目の成学社(開成教育グループ)が555教室なので、競合の塾・予備校との差は歴然です。

フランチャイズ展開にあたり、塾運営のノウハウ提供とコンサルティングが重要な要因になると考えられますが、ナガセが運営している東進ハイスクールは「今でしょ!」で有名になった林 修先生、微分・積分を使う物理の苑田 尚之先生、人気古典講師の吉野 敬介先生などカリスマ予備校講師と呼ばれる講師の授業動画コンテンツを武器にしてフランチャイズ展開を進めています。

塾・予備校各社の校舎/教室数

3.地域密着型によるブランド認知の向上(ステップ&学究社)

塾・予備校業界でトップレベルの営業利益率を誇るSTEP(ステップ)の校舎数は136校と競合他社と比較しても決して多くはないですが、神奈川県の公立高校受験に対して強いという認知度とブランドイメージを高めることで、販管費率を抑え、高利益率を実現していると考えられます。また、enaを運営する学究社も東京都立の中高一貫校や都立高校受験に特化して校舎展開することで、認知度とブランドイメージを高め、高利益率を上げていると言えます。どちらも学生数が多い東京都と神奈川でブランドを確立できていることも上手くいっている要因と言えます。

一方、秀英予備校は静岡、愛知を中心としながらも、北海道、宮城、福島、神奈川、山梨、岐阜、三重、福岡と全国に分散させているため、各地域での認知度や実績をなかなか得られず、苦戦を強いられていそうです。

秀英予備校/STEP/学究社の校舎/教室数

①地域特化または全国の校舎展開という軸、②公立受験または難関校受験(私立/国立)という軸で塾・予備校各社をポジショニングすると、地域に地域に特化して教室展開しているのはSTEPと学究社(ena)くらいしかなく、各地域にやや分散している個別指導以外の塾・予備校、つまり秀英予備校、市進ホールディングス(市進学院)、京進、早稲田アカデミー、昴、成学社(開成教育グループ)、クリップコーポレーションの営業利益率はあまり高くない状態です。

塾・予備校のブランドポジショニングマップ

ユーザーのアンケート調査でも塾・予備校検討の参考にした情報で1番多いのは「口コミ」で、その次が「塾からの説明・体験授業」となっており、特定の地域で実績と評判を獲得することが認知度向上に一番効果的であると言えます。

塾・予備校検討の参考にした情報

塾・予備校を選んだ決め手として1番多いのが「家から近い」で、その他には「知人からの評判が良い」、「知人が通っている(いた)」が上位にランクインしており、これらのアンケート結果からも特定地域に集中して展開することが集客の成果を上げやすい戦略と言えそうです。

塾・予備校を選んだ決め手

少子化によって減少し続ける学生数