大人気漫画キングダムから学ぶ経営戦略・リーダーシップ・マネジメント

中国の春秋戦国時代を舞台に、大将軍を目指す少年(信)と後の始皇帝となる秦国の若き王(政)を中心に、戦乱の世を描く大人気漫画「キングダム」をご存知でしょうか?キングダムは単行本の累計発行部数が3000万部以上(1〜46巻累計)あり、人気もさることながら、経営戦略・マネジメント・リーダーシップが学べるビジネス本として、起業家や経営者の間で話題になっている漫画でもあります。

今回から全3回にわたって漫画キングダムから学べる経営戦略、リーダーシップ、マネジメントのエッセンスを見ていきます。

経営戦略編

情報収集・整理・戦略策定の重要性

秦国の王座を懸けた勢力争いに巻き込まれ、秦を追われた政(後の始皇帝)と山の民が手を組んで王座を奪還しようと戦略を考えている時に山の民の王である楊端和(ようたんわ)が言ったセリフ

勢いは戦に勝利する要素の一つだ。だがそれだけで勝てるのは、せいぜい小さな国の野戦程度。我らはこれから秦国の王都に攻め込むのだ。敵の軍容を知り、城壁を超える策が必要となる。

キングダム(3巻)

敵軍の戦術に苦戦しつつも無理に突っ込もうとしている信に対して麃公(ひょうこう)将軍が言ったアドバイス

戦況を見るということは自軍の余力を見ることも含む、そこを抜かすと味方を多く殺すぞ、愚か者!

キングダム(28巻)

大きなゴールや目標を達成するには、社員やチームメンバーのモチベーションだけではなく、きちんと情報(自社、競合、市場)を収集して、実現可能な経営戦略を立てる必要性を説いています。

経営戦略の目的を見失わないこと

戦場で自軍の後続の味方兵が倒されていく中で狼狽える信に対して千人将が言ったセリフ

後ろを振り向くなと言ったはずだ!先陣も後陣も騎馬も歩兵も等しく、千の上にいる。すべては勝利の上に。それが軍というものだ!

キングダム(6巻)

敵将を目前にして味方兵も敵兵に囲まれてしまい、それを心配する信に対して渕(えん)さんが言ったセリフ

飛信隊の任務はこの場の敵を討つことでも、100人全員が生還することでもない。趙将馮忌を討つことです!それが叶えば、たとえ部隊が半数以下になろうとも飛信隊の勝利。そのための礎となるのなら我々は喜んでここに残ります!

キングダム(12巻)

語弊を恐れずに書くと、社員やプロジェクトメンバーは会社やプロジェクトの目標やゴールを達成するための手段として存在するのであって、少し酷な感じもしますが、そこの目的と手段を履き違えてはならないという教訓のように考えられます。

合従軍(秦国以外の国が一時的に結託して秦国へ侵攻してきた)が目の前の敵を倒すことに躍起になっていた時、目的達成のために様々な手段を講じていた合従軍の将軍禍燐(かりん)が言ったセリフ

この戦いの目的は函谷関の突破だ。裏を取るのが目的なら秦軍を倒すのはその手段だ。手段は別に一つじゃねぇだろ。

キングダム(29巻)

プロジェクトや施策が進行していくと、いつの間にか手段が目的化してしまいがちですが、しっかり目的を捉え、その目的達成のために考えられる手段を実行し続ける重要性を考えさせられます。

活用できるリソースは何でも使う

信のライバルである王賁(おうほん)が他軍が持っていない手の込んだ兵器(井蘭車)を用いて武功を挙げたことに対して、信が難癖をつけた時に王賁が言い放ったセリフ

剣の才を持つものが剣を振るのが卑怯じゃないように、俺は井蘭車を持っていたから使っただけだ。妙な難癖をつけるな。名門の出も才能の一つだ。

キングダム(18巻)

変にプライドなど持たず、ヒト・モノ(有形または無形)・カネといった活用できる自社のリソースは何を使ってでも結果を出す姿勢が必要と考えさせられます。これは企業だけでなく、個々人の日々の業務やキャリアについても言えそうですね。自分の持っているリソース(知識・スキル、経験、コネクション、会社の知名度など)は何でも使ってやるぞ!という気持ちも必要かもしれません。

リスクを冒さなければ、大きなリターンは手に入らない

桓騎(かんき)将軍が敵側の総大将を討つため、わずかな少数部隊で数万といる敵軍の大海原に繰り出す時に言った言葉

身を切ってエサを差し出すから、でけぇ魚が釣れんだろうが。

キングダム(28巻)

リスクを冒さなければ、大きなリターンも得られないことが書かれていますが、漫画の中では確かにリスクはありつつも、きちんと理にかなった戦術であることも記述されており、実際の経営戦略でもこの点は見落とさない方が良いでしょう。

選択と集中

秦国の将軍王翦(おうせん)と合従軍の将軍オルドとの戦いでの一場面

王翦の軍の心臓部がオルド主攻隊に襲われると、即決で撤退を決めた。逃げる時は徹底して逃げる。王翦は勝てぬ戦はしない。

キングダム(28巻)

事業がうまくいかなければ、継続か撤退か決断して、リソースを中途半端に残し続けない方が良いということを示唆しています。

攻め/守りおよびリソース配分のバランス

秦国軍が合従軍の攻撃を迎え撃ち、退却に追い込んだ時の状況解説。

今回の秦軍の配置は”攻め”と”守り”の役割がはっきりと分けてあった。楚軍を砕いた蒙武(もうぶ)軍が”槍”であり、函谷関の危機を救った王翦(おうせん)軍が”盾”だ。この二人の軍が実は函谷関攻防戦の鍵を握っており、その二人の力に賭けている部分が大きかったのだ。

キングダム(30巻)

経営戦略においても攻めだけ考えていると思いもよらない所で足元をすくわれたり、逆に守りだけでも事業が成長しなかったり、攻めと守りのバランスが必要と言えそうです。

秦国の蕞(さい)の攻城戦において、合従軍の激しい攻撃を秦国の軍師介億(かいおく)がどこに守備軍を増援すべきか、均衡を保つことでギリギリの状態で守り続けている場面での解説。

危機度の平均化。転覆寸前の蕞の城はこの介億の増援策によって絶妙なバランスの元に保たれていたのである。

キングダム(32巻)

特にリソースに余裕のないスタートアップ企業などでもリソース配分のバランスを保つことで、苦しい時も乗り越えられるということかもしれません。

経営戦略の根幹は優秀な人材をどれだけ集められるか?!

魏国大将軍の霊凰(れいおう)が戦争に対する見解を述べた一言

戦争とは土地の奪り合いではなく、武将の殺り合いだと見る。

キングダム(35巻)

企業間の競争においても、商品やサービスの市場シェア争いだけではなく、どれだけ優秀な人材を自社の仲間にできるかが、優位に立つポイントであると解釈できそうです。人材不足が叫ばれている日本においては、今後ますます重要な視点だと考えられます。

王賁(おうほん)率いる玉鳳隊(ぎょくほう)隊が規模のわりに強い隊である理由

現玉鳳隊隊はおよそ五千人隊とは思えぬほどの力を持っている。ここまで隊が成長した理由は三つ、王賁の成長と隊の熟練、そしてもう一つは半年前に王翦(おうせん)軍から派遣されて来た千人将 関常の存在である。

キングダム(36巻)

組織全体の力の底上げも重要ですが、優秀な人材が1人増えるだけでも組織全体に与える影響は少なくない例と言えそうです。

政(せい)が中華統一を目指すために秦国の体制見直しについて述べたセリフ

今のままでは無理なのは分かっている。だからこれから秦軍強化のために内政から変えていく。人材登用法を見直し、国内国外・身分問わず未だ野にうもれた才能を拾い上げる。さらに国庫を大きく開き、兵・軍馬等 増強し秦軍を倍の規模にする。そしてゆくゆくは秦の六大将軍(戦況によって独断で戦いを展開できる権限を持つ選抜された将軍)が復活する。

キングダム(41巻)

企業を成長させて壮大な目標やゴールを成し遂げるためには、性別、国籍、学歴、思想などは関係なく、その企業にとって優秀と思える人材を積極的に採用していき、マネジメント層に権限委譲していく必要があることを示唆しています。