フリーランス・個人事業主の市場動向から見るIT人材不足問題

フリーランス

働き方改革が叫ばれ、従来の長時間労働から生産性を重視した働き方、会社への出勤をなくす在宅ワーク(リモートワーク)、子育てしながら働くワーキングママなど、従来の型にはまらない働き方が注目を浴びています。

その中で会社という組織に縛られず、自身の経験やスキルを活かして仕事を行うフリーランス・個人事業主という働き方もIT業界を中心に広がりを見せています。今回はフリーランス市場の動向とIT人材不足について見ていきます。

増加する日米のフリーランス人口

ランサーズが毎年実施しているフリーランス実態調査によると、日本における広義のフリーランス人口は、2015年版では913万人、2016年版は1064万人、2017年版は1122万人とCAGR(年平均成長率)が10.9%と大きく増加しています。一方、アメリカのフリーランス人口は、2015年版は5300万人、2016年版は5370万人、2017年版は5500万人で日本の約5倍もいます。CAGRは1.9%と日本と比較すると大きくはないですが、年々フリーランスが増加していることが分かります。

日米のフリーランス人口の推移

非正規雇用の形態

正社員ではないフリーランスにはどのような雇用形態があるのでしょうか?参考までに非正規雇用の形態を見ていきましょう。

まず、派遣労働者ですが、労働者が人材派遣会社(派遣元)との間で労働契約を結び、派遣元が派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に労働者を派遣する雇用形態です。

パートタイム労働者はパートタイマーやアルバイトと呼ばれる労働者のことで、1週間の所定労働時間が同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短くなります。

契約社員は正社員と違い、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められているケースが多い雇用形態です。

最後に業務委託で働く人ですが、注文主から受けた仕事の完成または作業の実施に対して報酬が支払われる形態で、クラウドソーシングなどの在宅(リモート)ワーカーも含まれます。 IT業界では、この形態で働く人をフリーランスと指すことが多いです。

非正規雇用の形態

フリーランスはIT系人材(エンジニア&デザイナー)が中心

日本アプライドリサーチ研究所の調査によると、フリーランスの中で一番多い業種・職種はITエンジニアで22%を占めています。前述したデータと合わせると、日本に約247万人のフリーランスITエンジニアがいることになります。また、次に多いのがデザイナーで13%(約146万人相当)になります。恐らく、WEBデザイナーが多くを占めるのではないでしょうか。

3番目のライター・ジャーナリストについても、WEBメディアのWEBライターやWEBブロガーも一定数含まれると推察できるので、フリーランスに占めるIT系人材が多いと言えそうです。

フリーランスの業種・職種の割合

人材不足が深刻なIT・WEB業界

従業員が不足している企業の割合は2008年のリーマンショックによって一時的に減少しましたが、2009年以降は増加し続け、2017年7月の調査では正社員が不足している企業の割合は45.4%、非正社員は29.4%にまで増えています。

従業員不足の企業割合

様々な業界で人材不足が問題になっていることが分かりましたが、下の図では特に情報サービス業界(IT・WEB業界)で69.7%と人材不足が深刻という結果になっています。

従業員不足の上位10業種

IT企業におけるIT人材の過不足感の調査でもリーマンショックで一時的に減少したものの、その後は増え、2015年には”大幅に不足している企業”と”やや不足している企業”の合計は91.2%に及んでます。

IT企業におけるIT人材の過不足感

今後もIT人材不足は増すばかり?!

経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、ITエンジニア、WEBデザイナー、WEBディレクター、PMといったIT人材供給数(入職者数-退職者数)が2019年に92万3千人でピークを迎えた後、人口減少の影響を受けて減少していくと予測しています。

一方、IT・WEBのニーズは今後も拡大していくため、IT人材不足の問題は将来に向けてますます深刻化していき、2015年時点で17万人の不足が2030年には58.6万人にまで広がっていくと推測されています。

IT業界の最大の課題である人材不足問題に対して、どのような施策が有効なのでしょうか?

IT人材の供給動向の予測

IT人材不足の有効な改善策とは?

IT人材白書2017のレポートによると、IT人材不足に対する有効な改善施策として一番多くの企業が、”社内人材の育成強化”を挙げています(66.0%)。その後に”多様な人材の採用・活用”が49.0%、”支援企業の数の拡大”が28.0%と続いてます。

社内人材の育成強化は大手企業のように資金も豊富で、中長期的な施策が取りやすい場合は良いですが、ベンチャー企業のように即戦力人材のニーズが高い中小規模の企業においては、なかなか踏み込みにくい施策かもしれません。一方、正社員の採用だけでなく、社外から即戦力人材としてフリーランスエンジニアなどを活用したり、外部の受託開発企業と協業することでIT人材不足を解消することができるかもしれません。また、フリーランス人材を活用することで、社内だけでは得られなかったノウハウや知見が得られて、社内人材の育成強化にも繋がったり、副次的な効果も期待できるのではないでしょうか。

IT企業の効果のあった人材不足改善施策

まとめ

仕事や組織に対する価値観が多様化して、従来の枠に囚われないITエンジニアなどのフリーランス人材が増加してきている一方で、IT・WEB業界を中心にIT人材不足が深刻化してきています。そのような状況の中で、企業は正社員採用だけでなくフリーランス人材の有効な活用方法も模索していく必要性が生じてきているのではないでしょうか。

フリーランス人材と上手く付き合っていくことが、高成長企業の必須条件となる日が近い将来やってくるかもしれません。

フリーランス市場の動向まとめ