あなたが家電量販店業界1位のヤマダ電機会長ならどのような経営戦略を取るか?

ヤマダ電機のファイブフォース分析

ヤマダ電機を取り巻くファイブフォース(競合、新規参入、代替、売り手、買い手)を分析していきましょう。

まず、競合環境ですが、どこの家電量販店でも取り扱う家電メーカーが同じで商品の差別化が難しいため、価格競争に陥りやすい業界です。そして、価格を下げた分だけ利益を圧迫するという構造になっています。そのため、上述した通り、規模の経済によって原価率を下げようと各社生き残りをかけたM&Aが進んでいる状況です。

同じビジネスモデルによる新規参入は、業界再編で既存プレイヤー各社が大手企業化しているため、参入障壁は高いと言えそうです。

代替プレイヤーによる脅威としては、Amazonや楽天市場というECサービスの存在が大きく、家電量販店にとっても、いかにEC市場のシェアをおさえられるかが課題の一つになりそうです。

売り手側の家電メーカーは家電製品の企画から製造を担っていて、製品差別化のしのぎを削っています。また、ソニーやパナソニックなどは自前のECサイトを運用していたり、小売の機能を身につけて、家電量販店を中抜きしてしまう可能性もあります。

買い手である一般消費者は、家電量販店で商品の使い心地を確かめて、インターネット比較サイトで一番安く商品を購入できるECサイトで購入するスタイルが定着してきています。また、誰でも様々な情報をインターネットで見れるようになり、生活における趣味嗜好も多様化してきた中で、消費者は単に商品の機能や価格だけを見て購入するのではなく、商品を通して得られるライフスタイルであったり、製品に込められたストーリーをより重要視してきています。そのため、ユーザー体験を考慮した製品の差別化がより求められています。

ヤマダ電機の経営課題は何か?

ヤマダ電機の本質的な経営課題を考えるために、これまでの状況を整理してみましょう。

これまでヤマダ電機は、ロードサイド店舗による地方展開と家電量販店のM&Aによって急成長を遂げてきました。しかし、急成長を助長したエコポイント、地デジ放送移行、消費税UPによる家電特需も落ち着き、収益が減少しています。

競合の環境は、EC企業の台頭やインターネット価格比較サイトの普及により、より価格競争が激化し、各社とも利益を出しにくい状況に陥っています。そのような低利益体質の家電量販店業界においては、規模の経済によるコストダウンや生き残りを狙ってM&Aが進んでいます。

市場に目を向けると、EC市場は好調である一方で、従来の家電小売業態は成長はしておらず、ビジネスモデルの変化が問われています。

以上のような経営環境におけるヤマダ電機の経営課題として、ユーザーニーズの変化に合わせた差別化戦略による成長が挙げられます。

ヤマダ電機の経営戦略の方向性

ヤマダ電機の経営課題を解決する経営戦略の方向性として以下の3つが挙げられそうです。

1. SPAモデルの強化による商品の差別化

一つ目は、ユーザーの求める商品の差別化戦略として、他業界のSPA(製造小売業)企業であるファーストリテイリング、良品計画、ニトリをベンチマークにして、SPAモデルを強化する方向性です。

家電の小売だけでなく、製品の企画・製造も自社で担うことで、より付加価値を高め、利益率の増加が期待できます。ヤマダ電機、ファーストリテイリング、良品計画、ニトリの営業利益率と売上成長率を比較すると、SPA企業の方がヤマダ電機よりも営業利益率、成長率ともに大きく差をつけていることが分かります。

ヤマダ電機もオリジナルブランド家電「HERB Relax(ハーブリラックス)」を展開していて、すでにSPAモデルを導入していますが、各製品とも大きな特徴がなく、知名度も低いのではないでしょうか。

ファーストリテイリングは、Theory(セオリー)やHELMUTLANG(ヘルムートラング)といったハイエンドブランドを展開するリンク・セオリー・ホールディングスを買収したり、トップファッションデザイナーのジル・サンダー氏が代表を務めるコンサルティング会社とデザイン監修に関する業務提携を行ったりして、製品のデザイン性や訴求力を高めています。また、良品計画もアパレルブランドを手がけるデザイン会社のアングローバル社とデザインコンサルティング契約を締結して、製品の差別化を図っています。

ヤマダ電機もデザイン会社と業務提携またはM&Aによって、より製品の企画力を高めて差別化することで、SPAモデルを強化できるのではないでしょうか。

2. 店舗設計の見直しとEC強化

二つ目はIKEA(イケア)や蔦屋家電のように単に商品だけを陳列するのではなく、ショールーム風にライフスタイルをイメージさせる空間に商品を置くことで、消費者の購買意欲を促進するような店舗設計へ見直しが必要かもしれません。

また、家電に特化したECをより強化することでリアル店舗での取りこぼしを減らしたり、日本で爆買いをしている中国人や台湾人に対する越境ECへ本格参入したりすることも考えられます。

3. M&Aによる低コスト・低価格対応

三つ目は競合の家電量販店企業を更にM&Aすることで、より購買力をつけて原価率を下げ、低価格競争の中でも利益を確保できるようにする戦略が考えられます。

例えば、上新電機は家電量販店だけでなく、おもちゃなどのエンターテイメントグッズを販売しているキッズランド、医薬品・美容商品・生活雑貨・100円ショップを取り扱っているマザーピアなどの店舗経営やブックオフ、TSUTAYAのフランチャイジー加盟もしており、ヤマダ電機がM&Aすることができれば、家電小売以外への業界にも参入するきっかけができるかもしれません。そうなると、家電量販店から総合小売業へ展開するシナリオも描けそうです。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

読者の皆さんも、もしも自分がヤマダ電機の代表取締役会長 山田昇氏だったら、どのような経営戦略を取るか考えてみると面白いかもしれません。

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