化粧品業界研究|あなたが資生堂CEOならどのような経営戦略を取るか?

国内化粧品の市場規模はやや頭打ち

富士経済の調査によると、日本国内の化粧品市場規模は’14年頃までほぼ平行線でしたが、訪日外客人によるインバウンド需要もあり、近年はやや増加傾向になっています(’05〜’18年の年平均成長率CAGR:1.4%)。しかし、’17年の化粧品市場規模が2兆5985億円であるのに対して、’18年の予想では2兆5859億円と僅かに減じていることから、今後大きな成長は見込みにくいと推察されます。

化粧品販売チャネルはドラッグストアと通販・ECが増加傾向

国内化粧品の販売チャネル別の市場規模推移を見ると、ドラッグストアと通販・ECの増加が目立ちます。一方、化粧品店はもっとも減少率が大きく、百貨店も近年はやや回復していますが、今後の成長はあまり期待しにくいでしょう。

上記より、一般消費者は百貨店や化粧品専門店でカウンセリングを受けながら化粧品を購入するスタイルではなく、よりお手軽に購入するスタイルへシフトしていると考えられます。

世界的には化粧品市場は堅調に成長

世界の化粧品市場規模のCAGR(’05〜’17年)は3.9%で堅調に成長していて、’17年には27.8兆円になっています。そのため、日本の化粧品企業として海外展開は、重要施策の一つと言えるでしょう。

アジア・北米の市場成長が顕著

世界の地域別市場規模の推移を見ると、アジアと北米の成長が大きいことが分かります。アジアの市場規模は10.3兆円に達しており、今後も重要なマーケットになると言えるでしょう。

GDPと化粧品市場規模の相関関係

世界各国のGDPと化粧品消費額との間には強い相関関係があることが分かります。

上図のグラフで直線よりも比較的上側に位置しており、日本とブラジルはGDPのわりに化粧品消費額が大きいと言えます。

名目GDP
(10億ドル)
化粧品消費額
(100万ドル)
アメリカ 20412 86070
中国(香港除く) 14092 53494
日本 5167 36072
ドイツ 4211 18637
フランス 2925 14545
インド 2848 13580
イタリア 2181 11174
ブラジル 2138 32129
ロシア 1719 10874
スペイン 1506 8381
インドネシア 1074 5030
トルコ 909 3522
タイ 483 5837
ベトナム 240 1526

1人当たりのGDPと化粧品消費額についても相関関係があり、日本とブラジルにおける消費額が他の国よりも大きくなっています。

1人当たり名目GDP
(ドル)
1人当たり消費額
(ドル)
アメリカ 62152 264
ドイツ 50841 227
フランス 44933 224
日本 40849 284
イタリア 35913 189
スペイン 32559 182
ロシア 11946 76
トルコ 11114 43
ブラジル 10224 154
中国(香港除く) 10087 38
タイ 6992 85
インドネシア 4051 19
ベトナム 2545 16
インド 2134 10

資生堂の経営課題は何か?

資生堂の本質的な経営課題を考えるために、これまでの状況を整理してみましょう。

資生堂は国内の高価格帯化粧品を中心に売上・利益を伸ばしてきています。一方、制度品という販売モデルによって人件費率が高くなる傾向があり、利益を圧迫する要因になっています。

競合の環境として、海外企業やEC企業は美容部員を必要としない化粧品展開などにより、販管費率を低く抑え、高い利益率を実現しています。また、ロレアルやエスティローダーなどの海外大手企業は国外でのマーケットシェアを着実に伸ばしています。

化粧品の国内市場において、成長としては鈍化しており、購入チャネルも化粧品専門店や百貨店でカウンセリングを受けて購入するのではなく、ドラッグストアや通販・ECへシフトしています。海外市場に目を向けると、市場規模は堅調に伸びており、特にアジアや北米の成長が著しくなっています。

以上のような経営環境における資生堂の経営課題として、「利益の最大化」「国内の高価格帯化粧品への依存脱却」が挙げられます。