あなたがFinTech企業マネーフォワードの社長ならどのような経営戦略を取るか?

クラウド会計ソフト市場においては2番手か3番手

クラウド会計ソフトにおけるマネーフォワードのシェアは、個人事業主向けでは21.1%で、オリックスグループ傘下の弥生に続いて2位になっています。

企業向けのシェアは、非上場ベンチャー企業のfreee(フリー)、弥生に続いて3位となっており、22.5%です。

個人事業主向け、企業向けともに20%強のシェアを獲得している状況です。

クラウド会計ソフトはまだまだ新興市場

会計ソフト全体の市場で見ると、個人向け、企業向けともにインストール・パッケージ型の会計ソフト市場の方が圧倒的に大きく、企業向けにおいては88.9%がインストール型の会計ソフトを使っている状況です。

クラウド会計ソフトへのシフトが急速には進んでいない要因としては、以下の2つが考えられます。

1つ目は、既存ソフトから切り替えた時の操作性などの違いによる教育コストがかかってしまう点が挙げられます。企業の規模が大きければ大きいほど、会計ソフトを利用する部署や関係者も多くなり、コストが大きくなってしまうでしょう。

2つ目は、企業の規模が大きくなったり、特殊な業態であったりすると、基幹システムである会計ソフトに対しても全ての業務フローをカバーすることが求められます。そのため、既存の会計ソフト各社は会計ソフトも含め、販売管理、在庫管理、人事労務管理といったERP(Enterprise Resources Planning)領域全般をカバーするようなカスタマイズ対応も行なっています。しかし、現在のクラウド会計ソフトは、そのようなカスタマイズ対応をしていないことが殆どのため、インストール型を使用し続けるという状況です。

今後、クラウド会計ソフトへのシフトを加速させるために、以上の2点は大事なポイントになり得そうです。

話を少し戻すと、会計ソフト全体の市場に占めるマネーフォワードのシェアは、まだ2〜3%程度しかないことが分かります。

さらに、まだ会計ソフト自体を使わず、紙やExcelなどの表計算ソフトを使っている層が、過半数またはそれ以上いるとも言われているため、マネーフォワードの成長余地は非常に大きいと言えるでしょう。

会計ソフト関連の競合各社の売上を見ると、TKCが616億円、MJS(ミロク情報サービス)が275億円、オービックが235億円、弥生が170億円となっていますが、いずれもインストール型の会計ソフトを提供している企業です。

これらの競合各社の売上規模はマネーフォワードの4〜13倍程度になっていて、このデータからもクラウド会計ソフト市場の規模がまだ小さいことが分かります。

また、主な顧客層が大手・中堅企業や会計・税理士事務所の方が、様々な業務特性に対応したり、カスタマイズの必要性があるため、売上規模も大きくなる傾向があると言えそうです。

既存プレイヤーもクラウド化に対応

2013〜2014年にかけてベンチャー企業であるfreeeとマネーフォワードがクラウド会計ソフトをリリースしていますが、既存プレイヤーである弥生も2社に遅れを取らず、同時期にクラウド化への対応を進めています。

また、オービックやMJSもここ最近でクラウド化対応のソフトをリリースしており、マネーフォワードとしては既存プレイヤーに差を縮められる前に策を講じて、シェアを一気に広げておきたいところです。

販管費を増やしてシェア拡大を急ぐマネーフォワード

競合各社の営業利益と比較しても、マネーフォワードのみが赤字になっており、業界の経営環境が厳しいというわけではなく、投資による赤字であろうと推測できます。

また、コスト比率を見ると、競合各社の販管費率が43.0〜51.8%であるのに対して、マネーフォワードは76.1%になっています。このことから、マネーフォワードが特に販管費へ多くの資金を投入していることが分かります。

もう少し詳細のコスト比率を見ても、人件費(販管費)と広告宣伝費を足した比率が38%で、比較的大きな比率を占めることが分かります。’18年はテレビCMを行わなかった影響で少なくなっていますが、テレビCMを行なっていた’17年の広宣費率は22.6%もあり、営業系人員と広告費を投入し、営業販売を強化しようとしていると考えられます。