あなたがFinTech企業マネーフォワードの社長ならどのような経営戦略を取るか?

マネーフォワードの経営課題は何か?

マネーフォワードの経営課題を考えるために、これまでの状況を整理してみましょう。

マネーフォワードは、もともとtoC向けの家計簿アプリでユーザーを獲得してきましたが、近年はクラウド会計ソフト事業の売上比率が大きく、収益の柱になっています。そして、クラウド会計ソフトのシェアを一気に拡大すべく、販管費率を上げて、営業販売に注力しています。

一方、競合各社は会計ソフトも含めたERP領域(販売管理、在庫管理、人事労務管理など)をカバーすることで、既存のインストール型会計ソフト市場のシェアを確保しつつ、クラウド化対応を進めています。

会計ソフト市場において、まだインストール型が圧倒的に大きいですが、逆に言えば、それだけクラウド型の市場成長ポテンシャルも高いとも考えられます。また、グループウェアやCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)などはクラウド化が進んでおり、クラウド化へのシフトはこの先も進むと推察できます。

以上のような経営環境におけるマネーフォワードの経営課題として、「いかにしてクラウド会計ソフトに付加価値を付けて販売を進めていくか」が挙げられます。

マネーフォワードの経営戦略の方向性

マネーフォワードの経営課題を解決する経営戦略の方向性として、①会計周辺領域への展開、②クラウド会計プラットフォームの提供、③家計簿アプリとの連携、が考えられます。

1. 会計周辺領域への展開

会計や人事労務の領域だけでなく、ERP領域をカバーすべく、販売管理やCRMといった企業活動におけるサプライチェーンを意識した周辺領域の機能拡張が考えられます。これによって、これまでは対応しにくかった中堅企業などへの販売を進められるのではないでしょうか。

また、すでにマネーフォワードが一部進めていますが、顧客企業の会計データを活用することで、企業が融資を受けやすくなったり、審査スピードが早くなる融資支援であったり、出資やM&Aのマッチングを支援するような仕組みも導入できれば、企業経営の効率化につながると考えられます。

既存のERPシステムに留まらず、企業の経営活動全体をワンスポットで支援するシームレスなERPシステムを目指すことで競合と差別化された付加価値を付与できるでしょう。

自社開発だけでなく、米国会計ソフトの大手Intuit(インテュイット)社が周辺機能を持つ企業を次々に買収して拡大していったように(’13年〜’18年の間だけで24社をM&A)、システム機能拡張を目的としたM&Aも視野に入れて検討する必要があるでしょう。

2. クラウド会計プラットフォームの提供

会計システム導入を担うコンサルファーム(アクセンチュア、PwC、BBSなど)やSIerと提携し、クラウド会計ソフトのリードベンダーとして、マネーフォワードのクラウドプラットフォームを提供する方法が考えられます。

コンサルファームやSIerとしても自分たちが提供できるソリューションの幅が広がるので、お互いにメリットもあるのではないでしょうか。マネーフォワードとしてはAPIを提供することで、一部の機能を切り出して提供するというオプションも考えられるかもしれません。

これによって、自社だけでは営業が難しかった企業への販路を獲得できる可能性が広がります。

3. 家計簿アプリとの連携

家計簿アプリの利用ユーザーデータベースを活用することも方向性として挙げられます。

例えば、クラウド会計ソフトを導入してくれた企業に対して、アプリ内の広告枠を無償提供するといった販売促進キャンペーンも考えられます。アプリの利用ユーザーに対しては、個々の家計簿状況や趣味嗜好に応じて、最適な広告、クーポン、ポイントをリアルタイムで配信すれば、ユーザーメリットもありそうです。

また、企業間後払い決済サービスは既にリリースしていますが、ユーザーの家計簿情報に基づくリアルタイムな与信確認機能を開発することができれば、企業と個人との間での後払い決済も実現しやすくなり、主にEC市場での展開が考えられます。

このように一般ユーザーに認知度の高い家計簿アプリとの連携によって、企業と個人を繋げる役割も担うことができ、企業がマネーフォワードのクラウド会計ソフトを導入するメリットが大きくなるのではないでしょうか。

以上のような経営戦略を進めることで、個人・企業・銀行を繋ぐお金のプラットフォームとなれると思います。お金の流れをヒトの血液と例えるなら、血液を身体の隅々まで循環させる心臓の役割をマネーフォワードが担う構想とも言えるでしょう。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんも、もしも自分がマネーフォワードのCEO 辻さんだったら、どのような経営戦略を取るか考えてみたり、仲間同士でディスカッションしてみると面白いかもしれません。

ビジネス分析って面白いですね!

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