あなたがオイシックス・ラ・大地の社長ならどのような経営戦略を取るか?

成長途上の飲食料品EC市場

実店舗型スーパーの規模が大きいのは、食料品小売のEC化がまだ発展途上ということですが、実際、食料品のEC化率は2018年時点で2.6%しかありません。食料品のEC化率は年7〜10%程度成長していますが、物販系のBtoC-EC市場におけるEC化率6.2%と比較しても半分以下です。

食品小売市場のチャネル別シェアを見ても、スーパーだけで50%、コンビニと合わせると67%を占めることが分かります。

特に生鮮食品は、消費者が実物を見て鮮度などを確かめた上で、購入したいという心理がまだ強いのだろうと推察されます。

リーズナブルで多種多様な商品ラインナップを揃える食品通販がメイン

次に食品通販の中でチャネル別市場規模を見ていくと、オイシックス・ラ・大地が得意とする自然派食品宅配のシェアは2%で、食品通販の中でもニッチな市場であることが分かります。

一方、Amazon、楽天市場、ロハコなどが属するショッピングサイトや生協は、リーズナブルな価格の飲料や加工食品なども多く、マス市場の多種多様なニーズに応えられる商品ラインナップを揃えることで、高いシェアと成長率を維持できていると考えられます。

消費者が食品ECを使うメリットの一つとして、時間と場所を選ばずにインターネットのみで商品を購入でき、実店舗に足を運ぶ煩わしさから解放される点が挙げられますが、ほしい商品が一つでも欠けてしまうと実店舗まで行かなければならず、ECのメリットが十分に享受されません。様々な消費者ニーズに応えられるような商品を揃えることで、ECを利用してもらうメリットを感じてもらいやすくなります。

また、Amazonも品揃えが事業の根幹と考え、調達力の強化は継続して取り組むべき課題としていることからも、大きな市場を狙うのであれば、商品ライナップの重要性は高いと言えるのではないでしょうか。

増加する加工食品へのニーズ

国内消費に占める生鮮食品と加工食品の割合を比較すると、生鮮食品は昭和55年には39.3%あった割合が平成23年には24.3%にまで減少しており(15.0ポイント減少)、一方の加工食品は75.7%にまで増加しています。

加工食品の割合が増えている要因として、ミールキットが人気である背景と同じように、共働き世帯や単身世帯が増えており、まとめ買いしやすかったり、手軽に食べられるものが望まれていることが挙げられそうです。

競合大手各社の食品ECの取り組み動向

競合大手各社の食品ECの取り組み動向を見ていきます。

Amazonは日本ではライフコーポレーション、フランスではMONOPRIX(モノプリ)、イギリスではMORRISONS(モリソンズ)など、既存の大手スーパーと協業することで商品ラインナップを強化し、自社の物流や認知度の強みを活かして参入しています。

イオンはネットスーパーを展開していますが、イギリスのネットスーパー大手Ocado(オカド)と業務提携し、物流を強化する計画を打ち出しています。そして、全国展開スーパーとしての豊富な商品ラインナップと顧客基盤を活用することで攻勢をかけようとしています。

ウォルマート傘下の西友も楽天のネットスーパーと統合し、西友の商品数と楽天の顧客基盤、楽天ポイントを活かそうとしています。

セブン&アイHDは店舗出荷型のイトーヨーカドーネットスーパーなどを展開していますが、以前アスクルと提携して運営していたセンター出荷型の「IYフレッシュ」はサービスを終了していたり、ローソンの「ローソンフレッシュ」やサミットの「サミットネットスーパー」といった他のセンター出荷型ECサービスも終了しています。

このことから、通常の生鮮食品など単なる低粗利率の商品を一般的な物流の通販サービス上にのせただけでは事業を継続・成長させることが難しいという食品ECサービスの課題が浮上してきます。

また、大手各社の取り扱い商品数は1万点以上を有しており、オイシックス・ラ・大地全体での取り扱い商品数5,000〜6,000品(オイシックスサイト:約1900品、らでぃっしゅぼーやサイト:約1600品(非食品含む)から推計)をはるかに超える商品数となっています。

オイシックス・ラ・大地の経営課題は何か?

オイシックス・ラ・大地の経営課題を考えるために、これまでの状況を整理してみましょう。

オイシックス・ラ・大地は、「大地を守る会」や「らでぃっしゅぼーや」をはじめ、食に関する企業をM&Aしていくことで成長を加速させてきました。また、厳選したユニークな商品を見出し、市場に投入することで差別化が難しく、低単価になりがちな生鮮食品でも高価格帯セグメントを獲得してきました。最近は、半調理品の時短ミールキットが人気で成長著しい分野になっていますが、大地を守る会やらでぃっしゅぼーやのM&Aほどの成長インパクトを出すのは難しそうです。

食品小売の競合に目を向けると、実店舗の売上がまだ主力で規模も大きいです。大手各社は食品通販ビジネスにおいても、飲料や加工品などせいせんしょくひリーズナブル価格で消費者の多種多様なニーズに応える豊富な商品数で攻勢をかけてきています。

食料品小売市場の動向として、EC化は進んできており、食品EC市場の成長余地は大きいです。共働き世帯や単身世帯が増えるにつれ、惣菜や加工食品など手軽に食べられる食品の成長率が高い状況です。

以上のような経営環境におけるオイシックス・ラ・大地の経営課題として、「どのようにしてマス市場のニーズに応える付加価値商品を拡充させていくか」が挙げらるのではないでしょうか。

オイシックス・ラ・大地の経営戦略の方向性

オイシックス・ラ・大地の経営課題を解決する経営戦略の方向性として、①非生鮮食品の拡充、②大手スーパー・コンビニ傘下に入る、を挙げたいと思います。

1. 非生鮮食品の拡充

非生鮮食品を拡充する上で、大手食品メーカーとの提携・協業するのが良いと思います。

オイシックス・ラ・大地が得意とする商品企画・開発と大手食品メーカーの生産供給力を活かして、非生鮮食品(加工、冷凍、ミールキット、健康サプリ、ダイエット食品など)のコラボ商品を拡充させていくことで、マス市場の消費者ニーズにも応えられるようにします。

共働き世帯、単身世帯、シニア世帯、栄養バランス別の商品など、大手食品メーカーと組むことで世帯形態に応じた商品開発の幅も広げられるかもしれません。

また、消費者がメリットを感じやすい加工プロセスを経て、高付加価値商品を増やすことで「価格が高い」という感覚が生じにくいようにできたり、生鮮食品の物流面課題(鮮度管理、低粗利、サイズ規格など)も軽減できるのではないでしょうか。

自然派食品宅配や高価格帯のブラントイメージとの乖離が起こりうるので、ブランドを分けた展開(例えば、dミールキットのみに展開)をした方が良さそうです。

2. 大手スーパー・コンビニ傘下に入る

もう一つの方向性としては、ローソンやセブン&アイHDなどの大手スーパー・コンビニの傘下に入り、豊富な商品供給力や経営資源を味方につけることで、大規模なマス市場向けの商品ラインナップを拡充させていく戦略も考えられるかもしれません。そして、国内トップの食品ECビジネスに磨き上げていくという方向性もあり得るのではないでしょうか。

特にローソンはオイシックス・ラ・大地の大株主で、2017年に資本業務提携も締結していたりするので相性は良さそうです。また、コンビニチェーンの豊富な販売網や珍しい商品を取り扱う高級スーパー成城石井とのシナジー効果も期待できます。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

読者の皆さんも、もしも自分がオイシックス・ラ・大地の代表取締役 高島宏平さんだったら、どのような経営戦略を取るか考えてみたり、仲間同士でディスカッションしてみると面白いかもしれません。

企業分析って面白いですね!